概 要


10000系は、2006年に有楽町線に登場した車両です。
この車両は東京メトロになって初めての新系列の車両です。

有楽町線では07系が登場して以降、車両構成に長らく変化はありませんでした。
しかし、副都心線の開業が近づくにつれ、7000系の改造が必要で、列車の本数が不足することもあり、
10000系を順次投入し、最終的には10両編成の車両を20編成投入することになりました。
なお、10000系投入が発表されたのは2006年6月、営業運転開始は同年9月です。


10000系投入発表の東京メトロプレスリリースはこちら、当サイトのブログ記事はこちら
営業運転開始前の試運転特集はこちら、営業運転開始時のレポートはこちら、をそれぞれご覧下さい。




外観は丸みを帯びたデザインで、
これは福岡市地下鉄七隈線の3000系や同じ東京メトロ東西線05系にも似たデザインです。

また、貫通扉が中央にあるほか、ライト部分が鍵穴型になっているのも特徴です。
さらに電線から電気を取り入れる、パンタグラフはシングルアームタイプで、これも当時の有楽町線では初めてでした。

なお、このデザインは2007年にグッドデザイン賞を受賞し、受賞直後には記念ステッカーも貼られました。
この時の当サイトのブログ記事はこちらをご覧下さい。


車両は日立製作所製で、「アルミ合金ダブルスキン構造車体」といわれる車体を採用し、
A-trainシリーズの一つに数えられています。
A-trainシリーズには他に、同じ有楽町線で走る東武50000系列、西武20000系などがあります。
そのため、内装が特に東武50000系に似た部分があるほか、側面方向幕の表示も東武50000系と似ています。





モーターはVVVFインバーター制御を採用しています。これは全編成共通です。
台車は今の新型車両に流行の「ボルスタレス台車」ではなく、「ボルスタ付き台車」を採用しています。
07系のボルスタレス台車につけたボルスタ台車で試験運用した結果、効果が確認できたため
今回、10000系で採用されることとなりました。輪軸調整の容易化が期待されています。


その他、コンプレッサー(空気圧縮機)はスクロール式が採用されています。
コンプレッサーというと新型車両でも結構な音を発する物が多い中、10000系の物はかなり静かで、
その静かさは従来より20db静か、という数字にも表れています。
05系第36編成で19ヶ月試験を行い、導入が決定したものです。




前述の通り、2006年6月に投入が発表され、4編成が8月までに相次いで綾瀬車両基地へ到着しました。
綾瀬車両基地内で試運転を繰り返した後、和光市の車両基地へ移動、有楽町線内でも試運転を開始しました。

そして9月に運用を開始され、運用開始後1、2ヶ月間は記念ステッカーが貼られていました。
ステッカーは編成によって色合いが異なっていました。
また、10月には新木場車両基地で10000系の車両撮影会も行われました。


さらに、登場当時の10000系は「間接照明」が"売り"の一つになっていて、
蛍光灯がやや奥まった位置にあり、地下鉄の車両ながら暗い車内になっていました。
しかしあまりにも暗いため、あまり評判が良くなかったのか、11月には蛍光灯の軸受けが変わり
蛍光灯がやや出っ張った形になり、車内が格段に明るくなりました。
この時の当サイトのブログ記事はこちらをご覧下さい。


後に登場した第五編成以降は前面の「ゴールド」の帯が無くなりました。
また、「間接照明」は採用されず、照明は改造後に準じた状態で製造されました。
さらに、第四編成まではドア上のLCD画面は一台のみで、左側は空いていましたが、
第五編成以降は製造当初から二台設置されていて、左側には東京メトロの広告が流れるようになりました。

また、第四編成以前と第五編成以降はドアエンジンが変更されたため、ドア開閉時の音が異なります。
第五編成以降は扉が閉まる際、空気が抜ける音やロックの音が聞こえますが、第四編成以前はありません。


このように仕様が変わった第五編成登場時の当サイトのレポートはこちらをご覧下さい。
なお、一時期、第四編成以前の車両も第五編成以降のドアの仕様に合わせる改造が順次行われていました。
しかし、現在では全ての車両が空気が抜ける音やロックの音のしない、初期車仕様のドア音に変わっています。


10000系は有楽町線の他、東武東上線、西武池袋線へ直通運転を行っていて、
東上線へは通常、川越市駅まで(まれに森林公園駅まで)、
西武線へは飯能駅まで乗り入れますが、野球シーズンになると臨時列車として
西武球場前駅まで顔を出すことがよくあります。これは7000系と同様です。

なお、現在は有楽町線と副都心線の両方を走っており、
副都心線走行のためのATO装置などを搭載しています。

また、中間の2両を抜いて、8両編成にすることができるようにもなっており、
実際、副都心線開業直後から第一編成〜第四編成が8両編成として運用されています。
これは7000系の改造が遅れていることによる一時的な措置で、
将来的には元の10両編成に戻される予定です。




内装は、通勤電車にしてはかなりしゃれた、洗練されたデザインになっています。
車両同士を隔てるドアがガラス製である他、東京メトロでは初となるドア上のLCD画面、
蛍光灯と冷房・送風装置の一体化などが特徴です。
内装については下の「2. 内装」で詳しくご紹介いたします。

 
 



車 両 解 説


1. 外 装



第一編成です。記念ステッカー付です。




記念ステッカーの拡大です。




記念ステッカー貼付終了後です。




第二編成です。記念ステッカーは青色です。




車両先頭部の側面です。
ドアの横に車両番号が表されています。




先頭部は丸みを帯びています。
 




車両側面です。片側四つドアです。
 




なお、東京メトロのロゴマークは05系13次車のシール式から
再びプレート上の物を設置する形に戻っています。




車体の上の方まで丸みを帯びたデザインは
駅でも映えています。
 




電線から電気を集めるパンタグラフはシングルアーム型です。
写真には弱冷房車の表示もあります。
シール式で、7000系とほぼ同じものです。




なお、第五編成以降はシールの字体が
変更されています。




第五編成以降は前面からゴールドの帯が
なくなっています。




グッドデザイン賞受賞時には
このように記念ステッカーが貼られました。




ステッカーの拡大です。




側面方向幕はフルカラーLEDが流行の中、
3色のみの表示となっています。




行き先と号車が交互に表示されます。
そのため、車体側面に号車番号の表示はありません。




それに加えて、副都心線直通列車の場合、
直通先の種別も表示されます。
 
 
 




副都心線開業前は種別表示はありませんでした。
(西武線直通の快速・準急を除く)

現在は各駅停車 新木場行きでも
「各停新木場」と種別表示が出ます。




このような表示も幻に…




試運転表示
英語の「TRIAL RUN」も赤字で表示されています。




回送表示
同様に英語部分は赤字で表示されています。
 
 




快速などの種別が表示される場合、
7000系では種別が四角の枠で囲われるのに対し、
10000系は枠がありません。
そのため、種別の文字が7000系よりやや大きめです。




乗務員室扉部分には
青いシールが貼られています。
ホームドア整備と同時に貼られました。




 
2. 内 装



照明改造前の車内です。
登場当時は「間接照明」ということで、
車内がかなり暗めでした。
 
 




このように蛍光灯が奥まった位置にあり、
間接照明になっている一方で暗さを助長していました。

その暗さは座っている人の前に立ち客が出ると
新聞も読めなくなるほどでした。




蛍光灯が引っ込んでいます。
 
 




暗いという苦情が相次いだのか、
三ヶ月ほどで蛍光灯を受ける部分が
出っ張った物に変わりました。




先ほどの画像と比べても
蛍光灯の出っ張りが感じられます。
「半間半直照明」といった感じでしょうか




現在では全ての車両が
改造後の仕様に準じた作りになっています。
湾曲したポールが特徴です。





続いて、内装各部を順にご紹介して参ります。







まずは座席周辺です

こちらが座席です。
色は茶色になっています。
座席ははっきり言って硬いです。




座席は片持ち式です。
そのため、座席下にヒーターがある他は何もありません。




袖部分にある仕切りは独特の形です。
弧を描く模様付がなされています。




仕切りは二つの部分に分かれています。
どちらも金属で、ざらざらとした表面になっています。




窓枠部分が大きいのも特徴です。
ペットボトルぐらいだと置ける広さです。
(テーブルではないので物は置かないでください。)




ただ今ご紹介した一般席の様子です。
 
  




優先席は座席が青色になっています。
座席の硬さなどは全く一緒です。
前後2両目には車いすスペースも完備されています。




つり革ももちろん黄色です。
 
 




続いて、ドア周辺・車内の案内装置です

 

ドア周辺です。
目に止まるのはドア上の液晶画面です。

なお、ドア開閉時のチャイムはE231系タイプで、
(ピンポーン×3)となっています。




初期の四編成は製造当初、左側のみ画面が付いていて、
右側は空白の状態でしたが、
現在は左側も設置されています。
 
 




後の車両には最初から右側にも液晶が付き、
乗り入れ先でも稼働しています。

右側の画面には東京メトロの広告や一般の広告
が主に動画で表示されます。

副都心線開業前は東京メトロの自社広告しか流れませんでしたが、
開業後は一般の広告も流すようになりました。




左側には路線や駅の案内やが表示されます。
乗り入れ先でも稼働しますが、
情報量が地下鉄内に比べると減ります。

こちらは静止画がメインです。
 
 
 




次に、左側の液晶画面の表示をご紹介します

 

駅のホームの案内なども表示されます。
登場時は画面がフリーズしたり、間違っていたりなど、
故障が多発していましたが、現在ではありません。




所要時間の表示もありますが、
これも登場当時は、画像のように間違ったりしていました。
現在ではそのようなことはありません。




乗換え案内もありますが、
朝ラッシュ時や深夜は一部路線が省略されることもあります。
 
 




故障したり、表示を手動で消した場合は
東京メトロのロゴマークだけが表示されます。
このロゴマークを表示するようになったのは
副都心線開業後のことです。




副都心線直通列車の場合は、
直通先の種別がこのように別画面で表示されます。




副都心線開業前は西武線は赤で表していましたが、
開業後は黄色で表すようになりました。




路線図はドアの横の見にくい位置ながら
掲示はされています。
 




静止画ではありますがお知らせも出ます。
パスネットが販売終了したため
今ではこの案内は表示されません。




特別警戒のお知らせです。
英語表示もあります。




駅構内禁煙のお知らせ
 




駆け込み乗車禁止
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 




 

登場当時はこんな間違いも…

「優先席」の下の訳語が「COURTESY SEA」です。
(もちろん正しくはSEATです。)

さすがにまずいと思ったのか、
登場後、半月ほどで修正されました。
 




始発駅ではこんなイラストも出ます。
登場当時の東武9050系を彷彿(ほうふつ)とさせます。

(登場当時の9050系にはドアの上に10000系のように液晶画面があり、
駅員さんのイラストがお辞儀をするアニメーションがありました。
また、直通先に合わせて制服が替わるという手の込みようでした。
なお、10000系の場合、この画面は有楽町線の始発でしか表示されないため、
他路線の制服のイラストは出ません。
また、ずっと頭を下げたままで動きません。)




登場当時はメトポンが東京メトロの文字を
かき集めるアニメが表示されていました。
このアニメは終着駅の到着直前に表示されましたが、
いつの間にか無くなり、表示されなくなってしまっています。




駅到着時の表示です。
ホーム案内の他、乗換え案内も出ますが、
この画像では丸ノ内線や東上線、西武線が省略されています。
 




開かないドアにはこのように表示が出ます。
 
 
 
 




副都心線開業前は、表示すべき内容がない場合や
手動で表示を消した場合は路線がは表示されました。

今では路線図は表示されませんが、コントラストが薄く
字も小さいのでかなり見にくいものでした。




車両端部分に戻ります

 

車両端の部分です。
 
 




まず目立つのはガラスの貫通扉です。
しゃれた雰囲気を出しています。
衝突防止のためか完全な透明ではなく、模様が付いています。
扉には傾斜が付いているため、自然に閉まります。




後に扉にシールが貼られました。




扉に注意という旨の内容です。
誰か手を挟んだ人がいたのでしょうか。




車両番号などが表示されています。
号車表示はねじ止めで、後から変えられるようになっています。

また、製造当初から蛍光式の物が採用されています。
蛍光式ステッカーは、後に
東京メトロ全体に波及することになります。
さらに、下にはスピーカーがあります。




優先席付近は他の車両同様、
オレンジ色のつり革になっています。
 
 
 
 
 




車いすスペースも整備されています。
連絡用インターホンも設置されています。




次は車両先頭・最後部です。
 




窓は3枚あり、一番左の窓が一番大きくなっています。
ただ、カーテンが閉まっている事が多くなっています。

真ん中の窓は色つきガラスになっています。




一番右の窓からは線路が望めます。
 
 




乗務員の荷物が若干邪魔ですが、
前面展望は比較的良好です。




写り込みが激しいですが、
運転の様子もかろうじて見られます。




上には車両番号の一覧が貼ってあります。
表示の仕方が今までの旧営団車両とは異なります。




8両編成の列車はこのように
一部がシールで隠されています。




車両端のプレートの左下には
ランプのような物が設置されています。
非常時にはランプが点灯し、
乗務員室に入ることができるようになっています。




 
最後にその他の部分をご紹介いたします

 

一番和光市寄りの車両には
女性専用車両のステッカーが貼ってあります。
 
 




通常、冷房は線路と平行に一列につながっていますが、
10000系では冷房の吹き出し口は数カ所に分散されていて、
線路と直角に設置されています。
「マルチファンクションモジュール」という名前だとか…




冷房装置の設置場所もあって、
一部の広告が風でめくれ上がってしまうことも




荷物を置く棚は透明で、「網」ではありあません。
 




カーテンは灰色です。
 
 




ドア横は湾曲していて、つかめるようになっており、
金属製ポールの代わりをしています。
東武50000系などでも採用されています。




車内全景




非常通報装置です。




非常コックもあり、
その下の案内は蛍光式です。
 
 
 




一部車両のドアには号車とドア番号を示す
ステッカーが貼ってあります。

点字表示もあり、点字には
「メトロ 2の2」というように書いてあります。




広告の掲出部分も少し変わっています。




 





この他に、10000系にはメトロ7000系同様、自動放送装置が設置されています。


また、乗車促進放送を流すことができ、そのボタンを押すと
「ドアが閉まります。ご注意下さい。」という放送が車外スピーカーから二回流れます。
ドア操作をしても必ず二回流れる点は他の東武9000系、9050系とは異なる点です。


そして、自動放送は日本語の他、英語にも対応しています。
乗り入れ先でも英語放送を行います。

なお、ラッシュ時は乗り慣れた人も多く、「案内がうるさい」との声もあるので、放送が省略されます。
また、車掌さんによっては自動放送を切り、手動で放送する場合もあります。

自動放送は乗り入れ先の東武東上線・西武池袋線にも対応しています。
東武線内では副都心線開業前、男声の放送が流れましたが、
開業後、および現在は東武50070系タイプの女声が流れます。


副都心線内での発車メロディー操作も行うことができます。
副都心線内では運転士の方が運転台から伸びるマイクを使って、車内放送・車外放送を行います。


自動放送の詳しい放送内容は「自動放送」ページもご覧下さい。
 








3. 車両基本設計





● 加速度・減速度

加速度 3.3km/h/s
減速度 3.5km/h/s
(非常ブレーキ使用で4.5km/h/s)
最高速度 100km/h、(設計速度は)120km/h

加減速については東京メトロ07系・7000系と同様です。
ただ、最高速度については設計最高速度は10km/hアップしています。




● 車 体 寸 法

車体長さ 20m
床面高さ 1140mm
天井高さ 2415mm

床面高さは07系に比べ10mm、7000系より60mm低くなっています。
また、天井高さは従来の2230mmから185mm高くなっています。
言われてみれば7000系よりは開放感があるように感じられます。




● 運 転 台
























   

   

   


(写真はすべて客室内から撮影しています)






4. 走 行 音




 ● 量産型

    ・ 氷川台→平和台 
    ・ 朝霞→朝霞台

        量産型の車両はドア開閉時にエアー音がするほか、ロックの音が鳴ります。
        なお、自動放送はメトロ7000系とほぼ同じです。




 ● 初期車

    ・ 氷川台→平和台
    ・ 和光市→朝霞

        初期の4編成はドア開閉時にエアー音が全くしません。
        ただ、その4編成も現在は量産型と同じ仕様にする工事が進んでいます。




さらに多くの走行音をお聞きになりたい方は 
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○ 参 考 資 料

「鉄道ファン」(2007年12月号・2006年9月号、交友社)

東京メトロホームページ (「企業情報」内、データライブラリー)







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